紙本著色 牡丹図屏風(田崎草雲筆)

寸法 縦 132.5cm
横 100.6cm
明治時代
「牡丹図屏風」は、南画花鳥画の好題である「玉堂富貴図」を連想させる太湖石(だこせき)に芳麗な牡丹を配するもので、左右双方の株の牡丹が美を競って向かい合っている様子を描いています。

草雲(そううん)の花鳥画の根本はあくまで写山楼(しゃざんろう)一派(谷文晁(たにぶんちょう)一門)の学画理念にあり、渡辺崋山の作品に触発されるところが多く、また当時流行の椿椿山(つばきちんざん)や岡田閑林(おかだかんりん)の影響も少なくありません。

さらには、明治の新しい御代に画家として専念する決意を固めて以来、中国舟載画や日本の名画に範を求めることにも積極的となり、一時期、尾形光琳や酒井抱一など琳派の装飾画法の研究に努めたことも知られています。

本作品は、桐生祭りの踊り屋台の背景画として製作された「八ッ橋図屏風」や「松鳥図屏風」とも共通する琳派風の装飾性や気品を感じさせる優品で、上部の金箔による霞引きのいわゆる金雲こそ、保存が良すぎてなのか若干の違和感がありますが、それも古色を帯びるとともにしっくりしたものになっていくと思われます。

豊麗で色どりの美しい大画面の花鳥画作品として価値のあるものと思われます。

※通常非公開となっております